home > 小説 > > 7-2 比良坂

7-2 比良坂

いつもと同じはずの比良坂事務所にわずかな違和感を覚えた。
戦闘服とも言えるスーツに着替えた美冬は
ネクタイを締めながら辺りを見渡す。
いつもの夜の匂い、窓の外の毒々しい色彩のネオン、笑う喧騒。
整然と並ぶデスクも、室内の様子もいつもと変わらない。
違うとすれば。
「珍しいね、みんながこの時間に揃ってるなんて。何かあるの?」
窓の外を眺めていた長身の男――ウォークライに並ぶと見上げて尋ねる。
声に気付き、視線が向けられた。
不気味なほど黒い瞳は更に威圧感を与える。
比良坂にいる人間が皆そうであるように、彼もまた黒いスーツを身にまとっていた。
「……客だ」
「お客さんが来るの?」
黙って頷くと視線を再び外へと向ける。
美冬は言葉の続きを待っていたが、補足される様子もなく。
ただ不思議そうに見つめる翡翠色の瞳。
「客ってのもちょいと違うんだが、説明が難しいねェ」
甘い香りに気がつくと視界の端に黒い着物が映った。
隣に並んだサーペントがキセルをふかしながら首を傾げて、何か考えているように。
「そうなの?」
「ああ、しかもいつ来るか分からないのさ。あの人は神出鬼没だからね」
「で、ずっと待ってるの?」
「そうさね。まったく困った人だ」
言葉と裏腹に唇が楽しげに微笑を浮かべる。
美冬が納得したかのように鼻に抜ける声を出した。
振り向くと揺れる髪。
見え隠れする人影や遠く感じる気配を一瞥してから
ウォークライとサーペントを交互に見比べる。
「じゃあ、お客さんが来る前に軽く掃除した方がいいよね?」
「そうだね」
「よっし! あたし掃除しとくよ」
どこか楽しげな声。
言葉が終わるか終わらないかのタイミングで身を翻した。
靴音が室内を横切っていく。
「ラプター、レイヴンはどうした?」
美冬を視線で追っていたウォークライが気がついたように。
「隣の部屋で着替えてる!」
姿が見えない状態で、声を張り上げるように答える。
落ち着きのない様子に2人は笑み混じりで顔を見合わせた。


閉ざされた洗面所という名の空間。
水の音と共に美冬の鼻歌が聞こえる。
その声は表情と同じく、楽しげで笑っているようだ。
リズムを取っているようにわずかに首を左右に動かす。
隔絶されている、この静かな場所の空気を彼女が変えていく。
「まずは掃除機かけて、それから机を拭いて……」
手を洗いながら何気なく鏡を一瞥する。
写るのは動かない無機質なトイレの個室と

ドアを開けっ放しで洋式便器に座る金髪の青年。

「ふぇええ!?」
思わず声を上げた。
美冬は全身に電気が走ったかのように凍りついたまま動かない。
ただ聞こえるのは出しっぱなしの水の音と、背後から聞こえるページをめくる音。
「あ、え!? いや、えぇ!?」
動揺を隠しきれない様子でせわしなく周囲に視線をめぐらせ、
言葉にならない声を上げる。
鼓動が早くなるのを感じた。
思いがけない事に思考が抜け落ちてしまう。

落ち着け、と美冬は繰り返した。
深呼吸一つ。
自分がここに入ってきた時に彼は居ただろうか?
居なかった気もするし、もしかしたら気付かなかっただけかもしれない。
チェイサーである自分が気配を感じないなんて滅多にある事ではないと思うが。
……いや、そもそも彼は何者なのだろう。

美冬は戸惑いと動揺を顔に広げたままで鏡越しに彼を観察した。
ドアを開けっ放しでトイレの個室に入るという行動はともかく、
この界隈ではよく見かける風貌の若者だ。
中途半端に伸ばした肩にかかる長さの金髪。
細身の体型と、カジュアルでスリムな印象の服装。
一言で言うと『ギャル男』だ――美冬が心の中で呟く。
事務所に無断で入ってきたのだろうか。
それとも、考えにくいが事務所の誰かの知り合いか。
「水、出しっぱなしだぞ」
思考を破った声は上の空の口調だった。
感情が読み取れないアルトの声。
「あ! ごめんなさい」
美冬が慌てて水道を止めて、一息つく。
我に返った。

「って、ちょっと待てーい!」

勢いよく振り返り、美冬はのけぞりながら洗面所に手をついたままで
目の前の青年を睨んだ。
「あんた、何してんのよ!」
「でかい声出すなって、もう。ビックリするだろ」
逆上する美冬とは反対に青年は読んでいた雑誌から視線を上げると
眉間にしわを寄せたまま、たしなめるように言った。
「……何してるって、ウンコだよ」
ごく当然と言った口調で吐き出される。
美冬は唖然とした表情のままで口だけを動かしていたが。
「そうじゃなくて!」
「そうじゃなければ何だって言うんだ。皿洗ってるように見える?」
「そうじゃなくてよ!」
怒鳴る声に、更に言葉を重ねようとしてため息。
怒っている理由が分からないらしい青年は不思議そうに美冬を凝視する。
相変わらずジーンズと下着をふくらはぎの辺りまで下ろし、雑誌を持ったままで。
「なんでウンコすんのにドア開けて入ってんのよ!」
「そのほうが気合入るんだもん」
「知るか! あんた、ばっかじゃないの!?」
この場所に静寂の気配はどこにもない。
一方的な美冬の怒鳴り声ばかりが響く。
「あんたは気合が入っていいかもしれないけどね。
こっちにしてみりゃ見たくもないキバる姿見せられて気分悪いっつーの!」
腰に手を当てた美冬が一気にまくしたてる。
「ドアくらい閉めなさいよ!」
まるで相手を殴る口調。
言い放った美冬は息切れをしていた。
その向かい側では呆気にとられた表情を浮かべる顔。
勢いにか、それとも言葉にか。
そして数秒後。

「なるほど! なるほどな!」
聞こえてきたのは爆笑と、その狭間で漏れた言葉。
身体をのけぞらせるようにして天井を仰いで青年は笑っていた。
声が反響する。
「笑い事じゃないんだってば!」
「うん、悪い。悪かった。ふふ、なるほど!」
「何がおかしいのぉ!?」
笑っている理由が分からず不機嫌になる。
頬を膨らませて美冬が拗ねた口調で問うた。
そんな彼女の様子を気にも止めない青年は目を擦りながら笑っている。
笑いを収めようとしているのに、こみ上げてくるようだ。
「とりあえずさ」
長い指がドアを示す。
「パンツとズボン上げるから出て行ってくれない?
俺のブラブラしたモン見たいなら別だけど」
軽くため息をつき、おどける言葉に美冬の動きが止まる。
口が開いたまま静止。
そして
「あんた最低! 言われなくても出て行くわよ!」
捨て台詞のように言い捨て、ドアの閉まる音。
密室の中、再び青年の笑い声が聞こえた。


「どうした? 美冬」
全身から怒気を発しながら一同が談笑する輪の元へ大またで歩いてくる美冬に
真雪が戸惑いがちに尋ねる。
無理もない。
無人であるはずのトイレで美冬の怒鳴り声が響いていたのだから。
「ウンコがムカつく」
「は?」
苛立ちながら口の中で文句を繰り返す美冬に、怪訝そうな声と視線が向けられた。
「お嬢、あんた誰と話してたんだい?」
「……それ以前に女の子なんですから、あまりそういう事を言わない方がいいですよ」
首を傾げるサーペントと眉をひそめるノクティルカ。
その2人を、ふて腐れたように髪をいじりながら上目がちに見つめる。
「だーってぇ。さっきトイレに行ったら……」

「なんだ。みんな揃ってたのか」

声が重なる。
いっせいに視線がそちらの方向に集中する。
洗面所のある方向から歩いてくる青年が、口の端を上げた。
わずかに驚いたような表情を浮かべる一同の中で、美冬だけは怪訝な色を滲ませる。
「閻王。いつ、こちらにいらっしゃったんですか?」
「ん、少し前。悪かったね、急に呼び出して」
「それは構いませんが……おいでになっているのなら声を掛けて下さい」
苦笑混じりのダンデライオンの声に閻王と呼ばれた青年は片手を上げてみせた。
会釈をする周囲に頷き、止まる視線。
視線の先には美冬がいる。
「紹介しますね、閻王。彼女の名前はラプター。
カルラの所から派遣されたB+クラスのチェイサーです」
視線に気がついたダンデライオンが美冬の背に軽く触れた。
注目される中で戸惑いがちに会釈をする。
けれど、美冬の瞳は閻王を探るように。

怪しい人物ではなく、比良坂の関係者だった事へと安堵感と共に
閻王と呼ばれる青年の正体への疑問。
他のメンバーが会釈をし、所長であるダンデライオンが敬語を使っている所を見ると
それなりのポジションの人間であるようだ。
それに加えて美冬に戸惑いを与えるのは彼の持つ空気だった。
人間でもなく、今まで感じた事のない漠然とした威圧感。
それは彼の口調や振る舞いから、かもし出される物ではない。

「おー、お前がラプターか! 話は聞いてるぞ。
なんだ猛牛って言うからすっげーの想像してたけど可愛いじゃん! なぁ、レイヴン?」
「なんで俺に話を振るんですか」
観察していた閻王が美冬の頬を両手でつまみ、左右に広げて引っ張る。
慌て、戸惑う様子を気にする事もなく頬の感触を楽しむように。
「ほっぺ柔らかいなぁ。うはは、びろーん」
「あうう」
「びろろーん……ん?」
頬をつまんだまま、不審そうな声を上げた閻王が身をかがませて覗き込む。
顔を近づけられた美冬はのけぞりながら身体をこわばらせた。
普段なら手が出そうなものだが、相手の正体が分からない以上無闇に手を出せない。
「ひ、ひはいれふー」
「ダンデライオン、こいつは一体なんだ?」
デスクとデスクの狭間の開かれた空間、まるで円陣でも組むかのような状態。
その中で閻王は眉をひそめた。
それを見つめる周囲の視線。
「人間、じゃないよな。死神に似てるがそれとも違うし。
人外?……それも違うか。合う言葉がない」
「面白いでしょう?」
その言葉どおりの口調だった。
「人間と呼ぶにはかけ離れている、死神と呼ぶには能力がない。
人外生物とも違うんです。ラプターは元人間としか言いようがありません」
「私共も調べてみたのですが、詳しくは分かりかねます。
ただ彼女は、かつて死兆星にキスをされた経験があるとの事ですが」
ダンデライオンの言葉にノクティルカが付け加える。
閻王の水色の瞳が覗き込むたびに美冬は目をそらしたい衝動に駆られた。
後ろめたい事などあるわけでもないのに心を見透かされそうで怖くなる。
けれど、そらせない。
固まったように見つめていた、お互いを。
「ふうん、相変わらずお前達は変な人材ばっかり集めてくるね。
……って、そうだ! 用事忘れる所だった」
頬を掴んでいた手を離すと、身体を起こしその場の人間に視線を見渡す。
「今日は俺、パシリで来たんだよ」
「旦那を使いっぱしりに使うたァとんでもない話だねェ」
「だろ? あいつらに言ってよ、サーペント。俺だって暇じゃないのにさ」
肩をすくめて見せた後、閻王は笑った。
そして、依然として不思議そうに自分を見つめる美冬の視線に気付くと
右手を差し出す。
「ああ、悪い。自己紹介がまだだったっけ」
閻王の肩越しにネオンの海が見えた。
整然とした室内、穏やかな中にもわずかな緊張感が漂っている。
それは彼がいるからなのだろうか。
「周りの奴等は俺の事を閻王とか閻魔とか呼ぶね。
仕事は冥府の管理と死神のボスって所かな。まぁ、仲良くしてよ」
美冬は恐る恐る手を差し出した。
わずかに力を込めて握られる。
見上げた先の顔は、その役職や名前とはかけ離れた人懐っこさがあった。
「よ、よろしくお願いします……あの、先ほどは失礼しました」
「あ? いいって、そんなの。ドア開けてウンコしてた俺が悪いんだし」
笑いながら顔を扇ぐように手を振ってみせる。
周りから漏れるのは苦笑。
どうやら彼の行動は今回だけの事ではないらしい。
美冬はこっそりと周囲を見渡し、片眉を上げた。
「っていうか俺、叱られたの久し振りだ。レイヴンに初めて会ったとき以来かな?
ホント、お前ら似てるよ」
「その話はやめて下さい」
真雪が視線をそらして気まずそうに呟く。
その様子を笑っていた閻王が表情を引き締めた。
美冬から離れる手。
「さて、本題に入ろっか。今回俺がここに来たのは……」


閻王はソファに座ると足をテーブルの上に投げ出し、睨みながら書類をめくり続けていた。
その他の人間はそんな彼の前に立ち、何かを待つように様子を伺っている。
「やっぱり」
考えの中呟く、心こころあらずな声。
「はじめはエラーだと思っていたけど、そうじゃない。
ノクティルカからの報告書読んだ時点で違和感はあったが、これで決定的だ」
「どういう事ですか?」
張り詰めた声に見えない不安を感じてダンデライオンが恐る恐る尋ねる。
閻王は頭を抱えるように、空いた手で自分のこめかみを指で等間隔に叩き続けていた。

「秩序が狂わされている」

書類を凝視していた顔を上げて正面を睨む。
その声に答える者は無く、誰もが次の言葉を待った。
「死亡予定表と実際の死の辻褄が合わない事が多くてね。
まだ命数があるはずの人間が死んでるんだよ。予定外の死が多すぎる」
かぶりを振る。
今までの機嫌のよさそうな調子はどこにもなく、怒りを押し殺しているようにも聞こえた。
「予定外の死なら死神が戻せばいいって思うだろ?」
「ええ」
「それが出来ないんだ、困った事に。
どこかの悪い子が生き返れないように器用に壊してやがる」
不意に聞こえた何かが叩く音。
風が強くなったらしく、窓が震えた。
そんな音でさえも大きく聞こえる静寂の中。
「しかも戻せたとしても、すぐに別の奴が死んでいく。いたちごっこだよ」
この部屋で動いているのは閻王のみ。

「それが発生しているのは東京……しかも霧島区、もしくは近隣のみ」

息を飲み、驚いた。
そんな様子を知ってか知らずか閻王は思案顔のままで視線を横に投げる。
「はじめはツクヨミ――死亡予定表を管理してるマシンのエラーだと思ってたんだよ。
それにしちゃ数が多すぎるし、明らかに何者かが手を下してる形跡があるんだ」
「それで……」
「そう、他部署と冥府が共同で調査してるってワケ。
でも俺達だけじゃ手が足りないから、こっちで動けるお前達に頼みに来たんだな」
どこからともなく、ため息が漏れた。

確かに最近は此岸だけでなく社会全体が妙な空気に包まれている。
口に出さなかったが、死神だけではなく此岸の住人が感じている事だった。
いいようのない不安と根拠の無い予感。

「でさ。お前達、なんか思い当たるフシない? なんか変だって思う事とか」
その言葉に真雪と美冬が顔を見合わせた。
まるで目で会話をするように。
「閻王。死に瀕した人間にベールが見えない事はよくある事ですか?」
「と、言うと?」
「昨日と今日、2日続けて死に瀕した人間を見たのですが
両名共にベールが見えなかったんです。しかも俺だけじゃない」
強い視線をまっすぐに受けたまま、真雪が顔をしかめて言った。
隣に立つ美冬の頭に手を乗せる。
「普段、俺達と同じように死期が見える美冬にも見えてなかった。
しかも揃いも揃って童話を話していた上に、花を持って倒れたんです」
唖然とする室内、押し黙る沈黙。
世界中から音が消えたように、耳には何の音も届かない。
「どういう事だ?」
独白がこぼれた。
「死神が死期を見る事が出来ない事は稀にある可能性はあるけど、
しょっちゅう起こるわけじゃないし、2人とも見えないって事はないに等しいはずなんだ。
それが……」
「これも秩序が狂わされている事と関連があるのでしょうか」
「まだ何とも言えないけど、可能性はあるな」
軽く唸りながら頭をかいていた閻王が顔を上げて深刻そうな目で美冬を見つめた。
「猛牛」
「ラプターです」
「ああ悪い。じゃあ猛牛、お前はベールの見えない奴が死にかけた現場にいたんだな?」
「……はい」
美冬は一瞬、何か言いたげな顔をしたが諦めたように頷く。
「話してくれる? どういう状況だったか教えてくれ」
「はい。今日の……」
美冬の言いかけた言葉を飲み込んだのは、遠くでけたたましく鳴り響く電話の音。
一同の動きが止まる。
視界の端にノクティルカが電話に向かう姿が見えた。
数コールの後、聞こえてきた話し声。
それを聞きながら美冬は閻王の視線に促されて、口を開きかけた。

「お話し中、申し訳ございません」
受話器を持ったノクティルカが遠慮がちに離れた場所から切り出した。
口を開けたまま顔を向ける。
「仕事かい?」
「ええ、チェイサーギルドの方から緊急討伐の依頼が入ってきているのですが」
ダンデライオンと閻王が苦笑混じりに顔を見合わせた。
「俺のほうも大事な用ではあるけど、そっちほど緊急じゃないし行って来いよ。
なあ、ダンデライオン?」
「はい。ノクティルカ、ギルドの方には引き受ける旨伝えておいてくれ」
「了解しました」
ダンデライオンが真雪と美冬に向き直り、微笑む。
「仕事だよ、僕の可愛い天使達。行ってくれるかい?」
「あいよ。すぐに行ってくるわ」
美冬が頷きながら閻王を見ると、肩をすくめて口角を上げて笑っていた。
「また後で話は聞かせてくれよ」
「はい」
事務所内がにわかに慌しくなる。
「ノクティルカ、場所は?」
「天野駅の近くだそうですよ。詳しくは後でメールしますので」
「 おう。とりあえず天野駅に向かえばいいんだな」
ネクタイを締めなおし、伸びをする真雪の後ろを動き回る美冬。
靴音が部屋中を行ったり来たりしている。
「おい、美冬! 準備できたか?」
「投げナイフ、まだしまってないよう」
「今日は使わなきゃいいだろ。どうせ投げた後、回収出来ねえんだから」
「真雪、待ってってば!」
「早くしろよ」
ドアを開けて今にも出て行く格好のままで静止した真雪。
今までの重い空気は消えうせ、事務所に日常が戻ってきたように見える。
美冬の焦る声と足音を耳にしながら、電話をしているノクティルカや
台所に立つサーペントの姿を眺め。
退屈そうに待つ真雪に美冬が駆け寄った。
「おせえよ」
「何を言うか! 全力で急いだもん」
「じゃ、行くか」
「うん。いってきまーす!」


ドアの大きく閉まる音が静けさを呼んだ。
閻王は書類を手にしたまま、身体をひねり2人が消えたドアを見つめる。
小さく笑みを浮かべ、聞こえない音に耳を澄ましているように。

「……祈ろう、お前達の未来に」

新しい記事
古い記事

return to page top